kurashito~暮らしと

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10冊の本で自分を表現。その②イルボン「迷子詩集」。秋の午後の紅茶と手作りモンブラン。

10冊の本で自分を表現 その②イルボン「迷子放送」

さて、9月20日の記事で、「10冊の本で自分を表現」というテーマを扱いましたが、その中から今日は1冊紹介しようと思います。

kurashito.hateblo.jp

 イルボンの、「迷子放送」です。

迷子放送

迷子放送

 

 イルボンは、大阪のアーティストですが、実は、遠くフランスのマルセイユで出会いました。

迷語放送局 -詩演家イルボン オフィシャルサイト-

私は、24歳の夏の2週間、バックパックを背負って、初めての一人旅に出ました。
安い航空券の乗り継ぎで香港・ヒースロー経由、オランダ、フランス、スイス、オーストリアの4カ国、10ぐらいの都市や町を、自分でフリーで手配しながら、国際鉄道でまわる旅です。
ヨーロッパは国が陸続きなので、鉄道で国境を越えることができます。
節約と女一人旅の安全性のバランスをとって、2等の寝台車に寝泊まりしたり、ドヤ街の7人部屋のゲストハウスや、ユースホステルに泊まったり。

フランスでは、TGVに乗り、パリから地中海を目指して、途中、アルルに泊まりながら、マルセイユを目指しました。

今思えば、パスポートをとったのも初めてなぐらいの旅で、鉄道では、まわってくる車掌さんに切符を見せるのに、ありったけのチケットやパスポート類を広げて車掌さんに笑われたり、ただの駅のキヨスクみたいなところで買ったパニーニがあまりにおいしすぎてひとり悶絶したり、ウサギの肉やエスカルゴの定食をなんだかドキドキしながら食べたり、朝早いTGV(フランス高速鉄道)の車内のコーヒーカウンターで紙コップのコーヒーをサーブしてくれた店員のお兄さんが、レディーファーストで優しくてイケメンすぎてクラクラしたり。

12年前、まだまだ純粋で若かった私には、忘れられない思い出ばかりの、大冒険でした。

真夏のTGVから見える景色は、南に向かうほどに色濃く、マルセイユに着くと、民家に生い茂るブーゲンビリアや、潮風と日射しで洗われたコンクリートの白さが、まるで九州南部のそれとそっくりでした。

(※当時撮った写真が残っていました。)

マルセイユのビーチの入り口  マルセイユの民家のブーゲンビリア

マルセイユでは、港の旧市街ではなく、ちょっと離れた海岸寄りのユースホステルに泊まりました。

A.J. Marseille

その夜、偶然に男女6人もの日本人がそのユースホステルに泊まっていました。

夜はみんなでワイワイと盛り上がったのですが、その中にいたのが、イルボン。
ちょうどロンドンのパントマイムの学校から日本に帰国する途中だったそうです。

個性的な面々で、ユースホステルのテーブルで、とても楽しい時間を過ごしました。
そしてひとり、またひとりと、それぞれの部屋に帰っていく中、最後までテーブルに残っていたのが、私とイルボン。
映画やカルチャーや感性や表現や、イルボンでのロンドンでの日々の話など、若かった私には刺激的な内容ばかりで、気付けば夜も白み始め、その朝、私はマルセイユを発ったのでした。

帰国後もイルボンとメールをやりとりしたり、何度かアートイベントで会ったりしました。
そして出版されたのが、イルボンの処女詩集、迷子放送

在日コリアンというアイデンティティと、日本語の独特の世界、言葉の肌なじみ、身体表現とのつながりもあって、今でもあの頃の世界観を思い出させてくれる、大好きな詩集です。

もう長いこと経ってしまい、連絡をとっていませんが、今は、子どもさんもいて、多目的なアートスペースを運営したりしているようです。

yolcha.jimdo.com

今でも目を閉じると、どこか肌の奥底に残る、若い頃の大冒険の記憶。
マルセイユの白い太陽、ブーゲンビリア、海のにおい。
そこで出会った詩人の詩集。
行ってみたかったけど、当時は行きそびれた、「カランク」という絶景の入江。

blogs.yahoo.co.jp

いつか、また夫と訪れてみたいものです。

 

秋の午後の紅茶と、手作りモンブラン

手作りモンブランと薩摩紅茶

 そんな本と旅の思い出に浸った午後は、手作りモンブランで、夫と、午後の紅茶、しました。

kurashito.hateblo.jp

 今日は、国産の紅茶をいれてみました。
静岡に次ぐお茶生産第2位の、鹿児島県のお茶で作られた紅茶です。

www.furuichiseicha.jp

初めて飲んでみたのですが、これが、酸味や渋みが少なくて、ストレートで飲みやすく、おいしい紅茶でした!

 

すっかり冷え込む夜が来ました。

今夜は、鶏のフォーを食べたいと思います。