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なかしましほさんのヨーグルトチーズケーキ、香り良いコーヒーと、ニーナ・シモンと。【読書記録】西加奈子『サラバ!』と、ニーナ・シモン。褐色の質量。

なかしましほさんのヨーグルトチーズケーキ

なかしましほさんのヨーグルトチーズケーキ、香り良いコーヒーと、ニーナ・シモンと。

昨日、週末の朝食のパンを焼いてオーブンが温まったついでに、チーズケーキを焼いておきました。

 基本のプチパンを焼いた記事は、こちらから(↓)

   

 

以前、なかしましほさんが、毎週金曜の夜に、ツイッターの制限文字数140字内でお菓子のレシピをひとつ掲載し、それを見て作った人たちがハッシュタグをつけた写真をどんどんツイートし、最後になかしましほさんが詳しいレシピやお手本を発表し、ツイッターの写真の中から大賞を決定する、という、ほぼ日刊イトイ新聞の「ちいさなレシピを1ダース」という企画がありました。

ツイッターの文字数内なので、どのレシピもシンプル。
作りやすくて、それでいて出来上がるのは、シュークリームやケーキやババロアなど、意外に本格的でおいしいものばかり。
金曜の夜に発表になるレシピを毎週楽しみにして、いざ週末、ワイワイ作ってみて、できたー!おいしいー!なんて写真をアップしつつ、超盛り上がる休日を演出してくれる、すこぶるハッピーな企画でした。
誰でもが、もっと気軽に、「おやつ」を作って、みんなで楽しんでほしい、というなかしましほさんのスタイルがキラキラと輝いた、名企画だったと思います。

それが今は一冊の本になっています。
巻末の、詳しい写真付きの、あんこの基本的な炊き方、しかも鍋いっぱいではなく、少量でおいしく炊ける方法が、企画の時には無かったすばらしい付録です。

 

みんなのおやつ ちいさなレシピを33 (Hobonichi books)

みんなのおやつ ちいさなレシピを33 (Hobonichi books)

 

 

ここ何年か、チーズケーキに使うクリームチーズの内容量が、減っていますよね~。
なので、数年前のレシピだと、ひと箱じゃ足りなかったりして、なんだかもったいないのです。

 だいたいどこのスーパーでも手に入るこの2種類は、どちらもひと箱200g。
レシピ本では250g必要だったり。

 業務用も売っているけど、微妙に225gだったり、もう1kgだったり。

ほぼ日の企画の中のヨーグルトチーズケーキのレシピは、水切りヨーグルトを足すことで、クリームチーズの量をぐっと減らしても、濃厚でおいしいチーズケーキが簡単に作れるように工夫されています。

なんかタイトルがカスタードプリンになっていますが、こちら、企画の中での、ヨーグルトチーズケーキのレシピです。(↓)

www.1101.com

このレシピで必要なクリームチーズの量は、100g。ちょうどひと箱の半分です。
生クリームも100ml。これもひとパックの半分。
それにヨーグルトは、きっかりひとパック。

とっても作りやすい分量で、ヨーグルトさえ買い足せば、15センチ丸型なら、チーズケーキが2個でも作れてしまいます。

なかしましほさんのレシピに多い15cmの丸型は、2~3人にちょうどいいサイズです。底取れでテフロンだと、手軽で扱いやすいです。(↓)

 

 あらかじめ型にあった大きさに切ってあるグラシン紙があると、すぐにお菓子作りにとりかかれて便利です。(↓)

 

昨日は、クリームチーズだけ先に室温に戻しておいて、あとはパンをオーブンに入れた時点から、作り始めました。
ボトムもなしでOKなレシピだし、混ぜて、最後に普段使うザルを型の上に置いて、上から生地を流し込むだけです。
パンが焼けるまでの15分ほどの間にじゅうぶん準備ができ、あったまったオーブンで、続けてすぐに焼くことができました。

お味も、おいしいです!
ヨーグルトのさわやかさもどこかにありつつ、全卵に卵黄を一個プラスしていることもあり、十分濃厚で、食べやすく、一晩冷蔵庫で寝かしてあるので、しっとりなじんで、表面にはつるりと光沢が。
夫も、しっとりしてておいしい!とおかわりしました。
現代の小売事情を反映しつつ、おいしくてとても作りやすいチーズケーキです!

 

今日も夫が、豆から挽いて、おいしいコーヒーをいれてくれました。 

 我が家はベーシックなカリタのペーパードリッパーですが、コーヒースタンドの店主さんが勧めているこちらのクレバードリッパー、なんと、上からお湯を一気にジャーっと注ぎ入れておけば、おいしく入るように勝手にゆっくりお湯を落としてくれて、ほっとけば上手にドリップされているという、機械いらずの不思議なドリッパーらしいです。機械のように場所もとらないし、有能!(↓)

CLEVERクレバーコーヒードリッパーSサイズ DRS666PC

CLEVERクレバーコーヒードリッパーSサイズ DRS666PC

 

 

そして、BGMは、ニーナ・シモンの、1960年の、ライブ盤。

 CD(↓)

Nina Simone at Newport

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Amazon

 ダウンロード版(↓)

Nina Simone At Newport

Nina Simone At Newport

 

 

小さなデバイスでも、耳障りでない気持ちいい音が空間にやさしく広がる、テクニカのポータブルスピーカーで、

大地から注入されるような、ニーナ・シモンの歌声とピアノが久しぶりにリビングを満たし。

挽きたていれたてのコーヒーの香りと、手作りのチーズケーキのさわやかな濃密。
そこにニーナ・シモンのホンモノな歌声が流れるだけで、なんだか、すごく、至福。
ちょっとしたカフェにでかけるよりも、ずいぶん上質な空間と時間を過ごすことができました。

アナログな音と音の間に聞こえる鳥の声が、田舎の特典、ボーナストラックです。

 

 

【読書記録】西加奈子サラバ!』と、ニーナ・シモン。褐色の質量。

西加奈子『サラバ!』

二週間ほど前に読み終わっていた、西加奈子さんの『サラバ! 上』。
他の本を読んでいた関係もあり、やっと下巻を図書館で借りてきました。

サラバ! 下

サラバ! 下

 

 昨夜は夫が疲れて早々と寝てしまったので、2時間ほどひとり、夜中に読書に没頭していました。

没頭。
すべてを忘れさせられてしまうほど、ぐいぐいと引き込まれ、次のページをめくる瞬間ごとに感謝したくなるような、まさにそんな時間。

ラストまで完走すると、久々に、ちょっと感動して涙してしまいました。
え?涙するの?という設定だし、とてもweirdというか、ヘンな濃いキャラの人たちばかりが出てくるのですが。

私の中で、西加奈子の色は、褐色。

彼女は絵も描く人で、ほとんどの自分の小説の表紙は、彼女自身が描いています。
どれも、南を思わせる、原色を使った力強い色。
濃密で存在感があり、ポップにしたゴーギャンのような雰囲気も感じます。

西加奈子さんは、イランのテヘラン生まれ、エジプトで数年育ち、その後は大阪。
小説の中でもほとんどが関西弁をしゃべる人物たちで、自らの事も関西人と公言されています。

西加奈子 - Wikipedia

西加奈子 : Nishi Kanako

その、中東の暑い気候、大きな葉の樹木やラクダ、砂漠、濁った大河、行きかう砂漠の地に暮らす人々の、色。
秩序よりも生命の力が勝り、クールな都会よりももっと猥雑で、温度と存在感のある世界。
それが、私に、温度ある「褐色」を感じさせているのかもしれません。

それにプラスされたのが、彼女の、大阪。
大阪弁って、ただの方言の違いにとどまらず、日本の中でもラテンというか、独特のソウルを持った文化の背骨みたいなものを感じさせます。

軽快に進む会話やテンポのいい展開の中に、いきいきとした躍動感と、身体に近い言葉の持つダイレクトな伝わり方がある事が、私が彼女の小説を一気にラストまで駆け抜けてしまう、一番の理由なのかもしれません。

サラバ! 上』『サラバ! 下』の主人公は、男性ではありますが、時代背景はほぼ私の2歳ほど上である西加奈子さんと同じ。そして、生まれはイランのテヘラン、育ちはエジプトのカイロ。その後は大阪、そして東京、という設定。
さながら自伝的な舞台設定です。

さすがに、この設定において、ディテールのリアリティや、音、色、匂い、微細な感覚の描写は、彼女の独壇場です。
だって、本当にそれを感じてきた人なのですから。

世代が近いので、途中で出てくる青春時代の映画や小説や音楽なんかにも共感でき、懐かしかったです。

そしてその中で、出てくるのです。
ニーナ・シモン

1965年の曲、Feeling Good。

 

Feeling Good - Nina Simone (1965)

 

Feeling Good

Feeling Good

 すがすがしい歌詞です。

It's a new dawn
It's a new day
It's a new life for me yeah

新しい夜明け。
新しい一日が始まる。
私の新しい人生がはじまる。

(原語歌詞は、Feeling Good Lyrics - Nina Simoneより。対訳 kruashito)

 でも、ニーナ・シモンがこれを歌うと、歌詞そのものに、ものすごい量の凄みがプラスされて、ただならぬ過去から生まれいでる、ただならぬ新しい人生の始まりのように聞こえてきます。
いや、どの人生も、ただならぬ凄みがある、といえばそれも納得なのですが。

2、3回でてきて、短い歌詞の引用があります。
それが、小説の中の主人公のえええっ?!という驚愕の展開からラストの「始まり」に、伏線としてガツンときいてきます。

西加奈子、中東、大阪、東京、ニーナ・シモン、まさに、褐色のエネルギーがらせん状にからまって生まれた、質量のある、ある人間の半生の話でした。

「自分の感受性くらい、自分で守れ、ばかものよ。」
と、茨木のりこさんに後ろから思いっきりはたかれた後、
この『サラバ!』に、
「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ」
と、正面からまっすぐ見据えられて言い放たれる。
だから、ニーナ・シモンの、薄っぺらくない声で、Feeling Goodを聞きたくなる。

そんな読後感でした。

 

ちなみに、私が初めてニーナ・シモンを知ったのは、デビッド・リンチ監督の映画、『インランド・エンパイア』を見た時でした。エンディングで使われている、Sinnermanが、すごすぎて!

 サントラより、Sinnerman。(↓)

Sinnerman (edit)

Sinnerman (edit)

映画『インランドエンパイア』DVD(↓)

インランド・エンパイア [DVD]

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 itunes盤(↓)

 

 以前読んだ西加奈子さんの小説については、こちらから(↓)