吉田修一 『路(ルウ)』

田舎に引っ越してきて、もう雨はあがりました、今日はもう降りません、って教えてくれるのは、鳥たちのさえずりだった事を思い出しました。 今年の梅雨はほんとに長くて、雲の中に住んでいるような日が長く続きました。 肌が水蒸気で飽和して息ができないというこの感覚、いつぶりだっけ? たしかビルの狭間で、強烈な冷房…