kurashito~暮らしと

暮らしが幸せになるためのことを、日々追究しています。

高橋雅子さんの「上級のバゲット」修行。NHKプロフェッショナル仕事の流儀、竹内久典さんの回。なかしましほさんの、ヨーグルトチーズケーキ。休日パスタ、片岡護さんの『パスタ・スペシャリテ』から、ツナとアンチョビーにケイパーをきかせて。器の修繕。

「上級のバゲット」修行。

高橋雅子さんの「上級のバゲット」修行。
NHKプロフェッショナル仕事の流儀、竹内久典さんの回。

ものすごく足が遅く、ものすごく長寿な、まるで亀のような台風が、九州南部をゆっくりと過ぎて行きました。
山に囲まれた盆地にあるこの小さな町は、方角的に山に守られたのか、ときおりビューっと風が吹きましたが、雨もたいしたことなく、おかげさまで、鉢ひとつ割れず、停電ひとつなく無事に過ぎて行き、夏土用も、一緒に終了しました。

暦の上では、立秋をすぎました。新たな季節の始まりです。
まだまだ酷暑ではありますが、早朝に窓を開けると、吸い込む風にちょっとだけ、これまで感じなかった秋を感じます。

 

先週は、台風を前に忙しかった週末前でしたが、楽しみのバゲット修行だけはゆずってなるものか、と、ちゃっかり取り組みました。

高橋雅子さんの、低温長時間発酵で仕込み、家庭用オーブンで焼く、本格的なバゲット、リュスティックの本です。(↓)

ゆっくり発酵 バゲット&リュスティック (少しのイーストでつくるパン3)

ゆっくり発酵 バゲット&リュスティック (少しのイーストでつくるパン3)

 

 

前回、ちょっと発酵の具合がよくなかったので(↓)、

今回は、一次発酵から入念に。

前夜、常温に戻した粉で捏ね、冷蔵庫の野菜室に入れる前にしっかり発酵を確認してから一回ガス抜き、翌朝冷蔵庫から出してからも様子をよく見て、ちゃんとかさが増してきてから二度目のガス抜き、そこから根気強くボウルいっぱいになるまで待ち。
掃除や洗濯などひとしきり終わって、もう午前も終わりに近い頃、やっとやっと生地が発酵してボウルいっぱいに膨らみました!
我が家のアンペアの関係で、パンを焼き上げるまではエアコンをつけることができないので、汗だくです。

それを分割、ベンチタイム、布どりをして二次発酵、そしてやっとクープを入れて、霧を吹いて、焼成

「上級のバゲット」修行

今回は、初回に近い、プクっとプリっとした仕上がりになりました!
手前はいかにもプリっとしているのですが、奥は一部底割れがあり、その分少しハリがない感じになってしまいました。

でも、おいしく焼き上がりました!

バゲットには、純強力粉を使用します。夏場は冷蔵保存したほうがいいそうなので、我が家では冷蔵庫の野菜室に入る1kgのサイズで購入しています。(↓)

反省点は、三つ。

  1. 一本だけ底割れした。
    ~片方だけなので、おそらく成形の時の不備。次回はもっと上手に。
  2. 打ち粉が多い?!
    ~焼き上がりがあまりにも粉で真っ白!になってしまいました。パンマットにくっつかないよう、特に成形後はたっぷり打ち粉を振っていいそうなのですが、適宜払ったり、上手に使えるようになりたいです。
  3. クープ
    ~クープはまだまだ、するどいエッジも出ていません。全体をバランスよく、長さと深さを上手に、皮一枚をすくうように切れるようになりたいです。

 

自家製バゲットで休日の朝食

台風の日の朝も、近所の有精卵の目玉焼きとカボチャのポタージュと一緒に、おいしく頂きました。
バゲットの断面、内層はもっと、均一に気泡があくようにしたいです。 

 

パンといえば、先日、偶然テレビで再放送を見ました! 

www.nhk.or.jp

毎回、プロフェッショナルな仕事人たちを特集するNHKの番組。
今回は究極のパンを追求し続ける、竹内久典さんの特集でした!

 

竹内さんは以前、大阪の梅田で、一日1000人!が並ぶ、という、超大人気の伝説のパン屋さんを経営していました。
まさに、才能が花開いた、数少ない成功者。
高いマンションも高級車も手に入れ、誰もが認める日本一のお店。伝説のパン職人です。
それでも、焼いても焼いても足りないパンにせかされ、追われ、気付けば、ひとつひとつに「自分が本当に焼きたいパン」を見いだせなくなって、かなり追いつめられてしまったそうです。
それで、その大人気のお店を閉め、模索の期間を置き、今は郊外の山のほうで、「生瀬ヒュッテ」という小さなパン屋さんを営んでいます。

このお店の面白いところが、完全予約制!なのです。
その月の「パンセット」というのがあり、例えば2017年8月は、こんな感じ。

「8月のパンセット」
8月のパンセット. 1400円+消費税
天然酵母 ナッツのパン
カシューナッツとゴーダチーズのフランスパン
•抹茶とホワイトチョコレートのミルクパン
エスプレッソコーヒーとレーズンのパネトーネ
•••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••
•山小屋食パン 500円+消費税
•胚芽食パン 500円+消費税
•山小屋バゲット 300円+消費税
天然酵母 オリーブパン5個入 900円+消費税 

8月のパンセット | Boulangerie Takeuchiより)

月曜日の10時~14時、という限られた時間だけ、予約電話が通じるそうで、そこで予約できた幸運なお客さんだけが、今度は火曜~金曜の10時から14時に、直接店に赴き、購入できるんだそうです!
どれだけ人気なのか?!

そこで買うことができたパンを、店内で無料コーヒーとともに食べる事もできるんだそうで、予約していても、ズラっと並ぶ日があったりするそうです。

竹内さんの完全予約制のパン屋さんは、こちら(↓)

boulangerie-takeuchi.com

 

それにしても、メニューのパンの、おいしそうなこと!!!
番組の中では、1000人が並ぶ都会のパン屋さんをやっていた頃とは見違えるような竹内さんが、イキイキと、いい意味で取り憑かれたように、どんな組み合わせや作り方で、どんだけおいしいパンを、今の自分の限界地点まで焼けるか、と、発売前日ギリギリまで悩み、熱中する姿が描かれていました。

もちろん、一般的なパン屋さんの1時間ほどの発酵ではなく、しっかり15時間。
材料にも、妥協なし。
パン単体ではなく、他の食事との組み合わせから考えて、例えば気泡のない詰まったバゲットのような、常識を逸脱したパンも焼く。

多分、効率的でお金になるのは、1000人並んだパン屋さんの方。
従業員に「こんなん焼くだけ赤字ですわ」と言われたり。
それでも、竹内さんの子どものように熱中する姿、悩みながらも、「まだ、おいしくなる。」と言って手を動かし続ける姿。
焼き上がるパンの本当においしそうな様子。
それでもまだ、次はもっとおいしいパンを作る!んだそう。
ぐっと来ました。

その人にしかできない、その人だから生まれるその熱量こそが、人を感動させるための、まさに源泉。 
他の人にはマネできないし、逆に言うと、誰にでもそのオリジナルの源泉があるのだと思います。

竹内さんの、パンの「考え方」という本、おもしろそうです!
読んでみたいと思います。

ブランジュリタケウチ どこにもないパンの考え方

ブランジュリタケウチ どこにもないパンの考え方

 

 

 

なかしましほさんの、ヨーグルトチーズケーキ。

なかしましほさんの、ヨーグルトチーズケーキ。

台風の週末前、汗だくでバゲットを焼いたオーブンが熱いうちに、もうひと仕事。
水切りヨーグルトを加えることで爽やか!な、ベイクドチーズケーキを焼いておきました。
クリームチーズさえ常温に戻しておけば、パンを焼成している間に、それぞれ混ぜ合わせるだけなので、パンのついでに焼くのに、ちょうどよいのです。

こちらの本のレシピです。(↓)

みんなのおやつ ちいさなレシピを33 (Hobonichi books)

みんなのおやつ ちいさなレシピを33 (Hobonichi books)

 

 

この間、 焼きあげたばかりのチーズケーキを床にぶちまけてしまったので(笑)、やっとリベンジ!

台風の週末でしたが、予定もないのでその分ゆっくり時間もあり、外に出ないかわりのお楽しみとして、夫にいれてもらったコーヒーと一緒に、ゆっくり、頂きました。

なかしましほさんの、ヨーグルトチーズケーキ。

 

深いコーヒーの香りと、さわやかで濃厚なチーズケーキ!
1日以上冷蔵庫で寝かせているので、しっとり。
生地を一応ザルで濾してあるので、とってもなめらか。
ひときれで満足度の高い、とてもいい時間をもたらしてくれる、ケーキでした。 

 

 

休日パスタ、片岡護さんの『パスタ・スペシャリテ』から、ツナとアンチョビーにケイパーをきかせて。

休日パスタ、片岡護さんの『パスタ・スペシャリテ』から、ツナとアンチョビーにケイパーをきかせて。

サタルニア チボリ ディナープレート 26 8003342024262

サタルニア チボリ ディナープレート 26 8003342024262

 

 

週末の夜、パスタを作りました。
夫が昔バイブルにしていた、名店アルポルトのシェフ、片岡護さんのレシピより。  

「アルポルト」片岡護のパスタ・スペシャリテ60

「アルポルト」片岡護のパスタ・スペシャリテ60

 

  

この本のレシピには、結構本格的なものがいくつもあります。
スカンピや伊勢海老を使うだとか、煮込み時間2時間以上とか、手に入りにくいスパイスがあったり、でも、家でも頑張れば、繊細で極上のプロのパスタが作れる、かも?みたいな。

なのでこれまで、マリナーラソースだとかトマトソースだとか、基本のソースをあらかじめ作り置きして、何かの素材とあわせるレシピを中心に作っていました。
でも、ふと目にとまったこのレシピ。

「 ツナとアンチョビーにケイパーをきかせて」

これは、トマト缶をそのまま加えて、しかも煮込みすぎないようにさっと仕上げ、材料も家にあるアンチョビやケイパーやツナ缶で出来てしまうものでした。
なんでも、南イタリアの小さな町の代表的な家庭料理なんだそうで、とても素朴でおいしいレシピなんだそう。

パスタは細めのフェデリーニを用意して、

ディチェコ フェデリーニ No.10(1.4mm) 500g
 

あとは冷蔵庫の中のアンチョビとケイパー。 

マレッキアーロ フィレ・アンチョビ 瓶 80g

マレッキアーロ フィレ・アンチョビ 瓶 80g

 
讃陽食品 SOケーパー 瓶 60G 1本

讃陽食品 SOケーパー 瓶 60G 1本

 

ホールトマトと白ワインとパルメジャーノと、幸運な事にオレガノもありました!

 

固めに茹でた麺を、ソースとあわせて。
さて、お味は。

うまーーーーい!!!!

黒胡椒を粒のまま入れるのがとても香りよく、メリハリもあって、ケイパーやオレガノの風味、ツナやアンチョビのコク、唐辛子の旨みと辛さが、トマトの旨みとよくマッチして、アルデンテに茹でたフェデリーニをかみしめるほどに、ウマイ。

家にあるような材料でも、きちんと作ると、こんなにもおいしくなるものなのですね! 

そういう目でこの本をよく見てみると…。
もしかして、作れるかも?という、意外と素朴なレシピを発見したりします。
パスタって、素朴かつ繊細に、素材を活かす料理なのですね。
これからは気負わず、またこの本からいろいろなパスタを作ってみたいと思います。

 

 

器の修繕。

少しずつ、続けています。
漆による、陶磁器の修繕です。

こちらは、素朴な陶器の飯椀。
割れてしまったものを漆で接着し、割れ目や欠けた部分を錆漆で埋め、その上に黒呂色漆を塗った、修繕途中のものです。

飯椀の修繕

飯椀の修繕

やっていて、気付いたことがあります。
これまで、どうやっても、あこがれの金継ぎ師の黒田さんのような、細く無駄なく表情のある、かっこいい線にならないと思っていました。
まだまだとても及びませんが、どうやら、割れた傷口を「塗る」んじゃなくて、傷の上に新たに「線を描く」んじゃなかろうか、と。

そう思うと、たまにうまくいく部分が出てきました。

この飯椀は、黒呂色漆で仕上げてしまおうか、金や銀を蒔こうか、まだ仕上げを迷っています。

 

無印良品白磁の丸い平皿です。

無印良品の白磁の丸い平皿の修繕

まだ同じく埋めて黒呂色漆で塗ったところですが、これは、もしかすると、 赤のベンガラ漆で仕上げるかもしれません。
金も銀も使わず、しかも、朱色。
でも、それがいいような気がしています。

 

さきほどの伝説のパン職人、竹内さんの姿を見ても、思いました。
そういえば、新宿で黒田さんにお会いした時も、言われたように思います。

「自分が作りたいものを、追求する。」

「あくまで『自分がしたい仕上げ』のために、技術を学ぶ。批判的な評判や常識や、そういったものは、耳に入れない」

 

その代わり、自分が思い描くものが、自分に偽りなく、また妥協なく美しいものでなくてはいけないし、その思い描くもの自体を常にアップデートしていくために自分のアンテナにひっかかったものを見て、触れて、感じていく。
とにかく、それを追求、純化していくことが、ブレてはいけない。
その先の先の先に、無私や無我の境地はある。

 

竹内さんが、フレンチのお店で料理とパンの組合せを、自分の舌で勉強するように。
黒田さんが、Instagramで、黒田さんの目が見た、さりげない美しいものを載せていて、それがいつ見ても黒田さんらしく、その修繕にはやっぱり黒田さんのセンスが生きているように。

自分が思い描く美しいもの、それを具現化するための技術。
私は私のそれを追求して、アップデートしていきます。
終わりのない探求ですが、好きでやっていること。
いわば一生の、自由研究です。

 

 

台風の前に、湧き水を汲みにいってきました。
いつも通り、キラキラ輝きながら、とうとうとあふれる湧き水。 

湧き水

通行止めの道を迂回したら、いつも通らない集落の前に、こんな陽気なカカシさんカップルが。

案山子

おもわず、ほっこり。
「はーい」と返事をして、ハンドルを握りたくなりました。