渋谷のVIRONで、遅めの贅沢ランチ。おみやげに絶品カヌレ。バゲットとおうち朝食、「我が家のパン」を目指して。
渋谷のVIRONで、遅めの贅沢ランチ。
東京・千葉への旅日記の続きです。
0日目夜、羽田到着(↓)
1日目、新宿ベルクにてブランチ(↓)
1日目、六本木イスクラ薬局にて、漢方相談(↓)
1日目、銀座周辺(↓)
2日目、四谷周辺(↓)
2日目夜、西千葉ポポキへ(↓)
3日目、千葉駅北口豆NAKANO(↓)
3日目、がやりんで自転車を借りて、世田谷夏椿へ。(↓)
世田谷の「夏椿」から渋谷へ戻り、あと3時間ぐらいしか時間がなかったので、 最後に渋谷で2~3、用事を。
行ってみたいパン屋さんがありました。
渋谷のBunkamura近くの、VIRONです。
日本で一般的に容易に手に入る北米産ではなく、フランス直輸入の小麦粉で作る日本唯一のお店としてオープンしたお店で、レトロドールというフランスパンが有名です。
なんだか旅行中、やたらパン屋さんに行きたがっていた私です。
なぜだろうと考えてみると、多分、自分でパンを焼くようになったから。
有名なパン屋さんのパンだとか、本当においしい、一流、と言われているパンだとか、自分の目で見て、舌で味わって、なにがどうスゴいのか知りたい!という気持ちが強くなりました。
都内の有名なパン屋さんを下調べして、いくつかリストを作っておいて、そのエリアに行くついでがあったら行こう、と。
雲が空に蓋をして、あふれかえる人々に蒸されるような、その日の渋谷。
多国籍な人混みをかきわけ坂を上って行くと、ありました!
こんなエリアに、真っ赤な、そこだけパリみたいな、パン屋さん。
1Fはパン屋さんで、2Fは1Fで買ったパンを食べたりもできますが、きちんとしたディナーもできるようなブラッスリーになっています。
ここで食べるモーニングも、人気なんだそう。
最終日ということで、自宅へのお土産にVIRONのパンを買って、機内持ち込みで持って帰るだけのつもりでいました。
でも、世田谷で自転車で大冒険をしたら予想以上にお腹がすいて、でもこれからどこか食べる場所をじっくり選ぶほどの時間もないし、時間帯も中途半端だし、ということで、レジで支払寸前に決めました!
VIRONの2Fで、ちょっと遅めのランチをすることに。
1Fのショーケースにはとてもたくさんの種類のバゲットサンドが並んで、レジの支払い途中で、とっさにはなかなか選べませんでした。
1Fでオーダーだけすると、そのまま2Fできちんとカットされて、ギャルソンがお皿に乗せてきちんとサーブしてくれます。
例のレトロドールという、名物の、フランス直輸入の粉を使った細長いフランスパンに、ツナをはじめ、ちゃんと一品として料理された具材がサンドしてあります。
おいしーーーー。
マヨネーズとカラシで混ぜ混ぜしてはさんでドン、とかじゃなくて、きちんとした料理がはさまれて、レトロドールとよいバランスをとっているサンド。
さすがコース料理も出す、ブラッスリー併設。
具材が一品一品おいしい料理なので、あれだけたくさんバゲットサンドのバリエーションを広げられるわけです。
時間帯的に、さらに自分で単品のスープと飲み物をオーダーしました。
本日のスープ、キノコのポタージュを。
それと、旅先だから野菜不足だったのか、はたまた赤い内装のせいか、トマトジュースに妙に魅かれて、一杯。
なんか、パンとスープとジュース。いかにも日本人っぽい頼み方でちょっと恥ずかしいですが(笑)キノコの香るあったかいとろみのあるポタージュと、いい香りのするバリっとした皮のバゲットサンドをほおばると、もうすばらしいバランスで、これはカンペキに、ごちそう!!!
濃厚なトマトジュースは、サラダがわりに。
レトロドールはさすがのウマさ。
多分何も知らずにかぶりついても、何?このパン、おいしい!とリアクション間違いなしの、バゲットの優等生のような感じでした。
パンで軽食とはいえ、じゅうぶんに多層な味や香りを楽しめて、満足度の高い、東京での最後の一食になりました。
幸せ!
夢中で食べてふと見渡すと、パリっぽい赤い内装の2F座席は、昼下がりのおしゃべりに華が咲くこぎれいなマダムたちで、もうすぐ満席!
確かに、この時間帯の単品やディナーメニューなど、結構いいお値段がするので、高級なブーランジェリーですね。
マダムたちにまぎれて、旅先でしっかり満喫してきちゃいました。
おみやげに絶品カヌレ。
実は、VIRONに行きたかった理由のひとつが、カヌレです!
私、ヨーロッパ、特にフランスの田舎の焼き菓子って、好きなのです。
カヌレをはじめ、ナッツたっぷりのタルト、バターの香るマドレーヌ、お腹を壊してて現地で食べそびれたバスクの伝統菓子、ガトーバスクなどなど。
中でもカヌレって、なかなか本場の味を自分で作るのは難しそう。
NHKのグレーテルのかまどでカヌレの回を見た時から、カヌレ熱はどんどん高まり、
"グレーテル"のスタジオから【ボルドー・修道女たちのカヌレ】|グレーテルのかまど|テレビ|最新メディア情報|辻調グループ 総合情報サイト
でも、自分で作るとなると、型から作り方から、なかなかハードル高く、頑張っても、本場の味にはなかなか追いつけそうになく。
田舎にはまず無い本場のカヌレ、東京でならなんとか食べられないかなと、下調べをしていたら、数ある中でも、ここVIRONのカヌレに、「外はカリっと中はトロりでふわーっと洋酒の香り」、というレビューがついていました。
迷わずゲットです!
3つ買って、1つは帰ってきた空港で自分のおやつに。
あと2つは、夫と一緒に翌日、おうちで頂きました。
実は、こちらの記事で、お土産に買った千葉駅北口の豆NAKANOさんの コーヒー豆を夫がいれてくれたときのお供は、VIRONのカヌレです。(↓)
小雨の日に機内持ち込みで持ち帰り、しかもコーヒーをいれたのは翌日だったこともあり、外のカリっとは失われてしまいましたが、中の生地は焼き菓子よりも蒸しパンやプリンに近い、トロリ。
バニラビーンズと洋酒のあま~い香りがふんわり。
夢見心地系のお味!
最初は、「カヌレ?俺はいらないかも」とか言ってた夫ですが、食べてみたら納得。
「これは、ウマイ!」と、ぺろりと完食。
夫には、カヌレといえば、カヌレの型だけを使ったやたらと甘い昭和の焼き菓子、みたいな記憶がどっかにあったんだそう。
VIRONの堂々たるカヌレは、その記憶を見事吹き飛ばしてくれたようです。
いつか、ボルドーの町中にあふれている、という本場のカヌレ、食べてみたいものです。
バゲットとおうち朝食、「我が家のパン」を目指して。
もうひとつ、VIRONで自宅へお土産として買ってきたのが、このパン。
有名なレトロドールではなく、やっぱり田舎者なのか、全粒粉やライ麦や、白くない粉も使った、どっしりとした田舎系バゲットに魅かれてしまいました。
レトロドールについては、こちらから(↓)allabout.co.jp
この記事、すごいです!(↓)
帰ってきてから見つけた、VIRONのシェフの牛尾さんのロングインタビュー。
壮絶で、びっくりしました!!!もはやパリを越えた、レトロドール。
これまでの紆余曲折や、パンの水のことやら工程のことやら、パン作りに興味がある方は、ぜひ読んでみてください。
ヴィロン エグゼクティブシェフ 牛尾則明 【職人インタビュー 008】 | パンラボ
なんとも、豊かで堂々としたお姿。
エッジの切り立ったクープ。
かっこいい焼き色。
切り分けると、すばらしい気泡がたくさん。
トーストすると、バリっとしたクラム。
おいしい塩をしっかり使ってあって、固めの生地をかみしめるほどに旨みが。
その旨味具合、キミはまるで、スルメかアタリメかー?!
いつもの休日と同じように、サラダと目玉焼きとクリームスープなんかと一緒に食べましたが、その存在感たるや、間違いなく、パンが主役!でした。
パンって、その土地を反映するものだと私は思います。
水や小麦や気候や火や。
フランス産の小麦粉にこだわり、わざわざ硬水を使うVIRONのパンは、日本という土地を反映しているパン、とは言えないのかもしれない。
でも、日本の湿度のある気候でそれを再現するために、日本人独特の感性や勤勉さや粘り強さや職人気質にもとづいた工夫によって、見事に作りだされたパン。
それが今や本場のパリでも失われた、伝統のすばらしい味だと評されているそう。
それもある意味、誇るべき「日本のパン」だと思いました。
でも、毎日おうちで、自分で作ったスープと一緒に食べるのには、ちょっと立派すぎ?なぐらい。
我が家でのパン作りは、粉の選択肢も気候も、特にオーブンの火力については致命的に理想とはかけ離れていて、しかも、作るのは、絶賛修行中の初心者の私。笑。
毎回焼き上がるのは、とてつもなくいびつなパンではありますが、毎回、夫と休日の朝のひとときに幸せを感じたくて、素材やバランスや、「ほっとするし、本当においしい」を目指して、楽しみながら、めげずに修行を続けています。
いつか「これが我が家のパンです!」と堂々と言えるように、これからも毎週毎週、作り続けていきたいな、と、渋谷の坂の上の、パリみたいに真っ赤なVIRONの、無言でも主役になっちゃうパンを食べて、改めて思いました。
でもやっぱり「ほっとするし、本当においし」くて、VIRONのパンみたいなカッコいいバゲット(そのまま小さくしてリュスティックでも)も、いつか焼いてみたいです!
一流と呼ばれるパンを五感で感じて帰ってきて、これまで見えていなかったレベルの理想がブラッシュアップされています。
道ははるか遠いですが、楽しんでいきたいです。